1. 始めに
年始になると、今年の経済・法律情勢はどうかという話がよく議論される。特に日本はゼロゼロ融資の問題 もあり、法的倒産事件が増加するのではないかとも議論されるが、近時の情勢においては、それ以外のいく つかの点に留意する必要があるように思える。概括すると、①法的倒産手続への社会の期待はそれほど大き くない状態にあること、②他方で、経済的苦境以外の法的問題点が増加していること、③もう少し幅広い視
点で見ると、経済環境の変化をどのように捉えるか、という 3 点が重要といえる。
2. 私的整理手続が活発な理由
1.はじめに
1. 始めに
JV(ジョイントベンチャー)は、自社の持たないノウハウ・経営資源等を JV パートナー間が JV を通じて相互に提供することで新たな価値を創出すると共に、リスクを適切に分担することに存在意義の 1 つがある。しかしながら、①一旦、JV パートナー間の関係が悪化すると、デッドロックや契約違反が生じ、円滑なビジネス運営に支障をきたし、また、②JV(対象会社)の財務状況が悪化すると、当該損失の処理を巡っ て、JV パートナー間で軋轢が発生することがある。
そこで、本稿では、そのような JV の処理を巡る問題を概観することとする。
2. 契約上の攻防
まず、JV パートナー間の関係が悪化した場合に備えて、通常は JV 契約において、①JV 関係の解消方法に関する条項、及び②紛争解決手段に関する条項が記載されていることが多いため、当該条項に従って処理を 行うことが想定される 。
本稿では、近年のシンガポールの事業再生/倒産に関連する法・実務の発展を概観しつつ、シンガポール国際商事裁判所(以下「SICC」といいます。)における国際事業再生/倒産案件の取扱いについて解説します 。
1. 近年のシンガポール事業再生/倒産に関連する法・実務の発展
シンガポールは、様々なビジネス分野において東南アジア(又はグローバル)におけるハブを指向していますが(例えば、国際仲裁の分野において、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)は国際仲裁機関として高い評価を得ています。)、事業再生/倒産の分野も例外ではありません。以下の年表からも分かるとおり、2010年代以降、政府・金融機関・実務家等が一丸となって、①グローバルスタンダードに合致し、かつ、国際倒産への対応も可能な倒産法制度を整備しつつ 、②シンガポールの裁判所を、東南アジアにおける国際事業再生/倒産案件のフォーラムとして確立しようとする動きが顕著に見られます 。
1. はじめに
マレーシアでは、Companies (Amendment) Act 2024(以下「本改正法」といいます。)が、一部の条項を除き 2024 年 4 月 1 日に施行されています。本改正法は、マレーシア会社法(Companies Act 2016)に規定されているリストラクチャリング・企業再建手続の強化に焦点が当てられており、スキームオブアレンジメント (Scheme of Arrangement)、更生管財手続(Judicial Management)及び会社任意整理(Corporate Voluntary Arrangement)において手続の明確化や新制度が導入されています 。今回の改正は、シンガポールにおける 2017 年・2020 年の倒産法改正や、2020 年に行われた英国倒産法改正を参考にした部分も多く 、また債務者フレンドリーな改正が多いという点では、近年の国際的な倒産法制改正の潮流にも沿うものとなります。本稿では、マレーシア法改正による企業再建手続の変更点のうち実務的に重要なポイントについてご紹介します。
2. 保全命令制度の改正
Indonesia Authors: Jeanne E. Donauw and Hans Adiputra Kurniawan 1. KPPU Regulation No. 3 of 2023 and Government Regulation No. 20 of 2023: New Merger Filing Regulation and Fees The Indonesian Business Competition Supervisory Commission – Komisi Pengawas Persaingan Usaha (“KPPU”) issued KPPU Regulation No. 3 of 2023 (“Reg 3 of 2023”) as a new merger filing regulation, replacing, and revoking the previous regulation on the same matter, namely KPPU Regulation No. 3 of 2019 (“Reg 3 of 2019”).
インドネシア 執筆者: ジェン・エリザベス・ドノウ、ハンス・アディプトラ・クルニアワン 1. 2023 年 KPPU 規則第 3 号及び 2023 年政令第 20 号:新しい企業結合届出規 則及び手数料 インドネシア企業競争監視委員会(Komisi Pengawas Persaingan Usaha)(以下「KPPU」という。)は、新しい企業 結合届出規則である 2023 年 KPPU 規則第 3 号(以下「2023 年規則第 3 号」という。)を公布した。2023 年規則 第 3 号は、従前の企業結合届出規則である 2019 年 KPPU 規則第 3 号(以下「2019 年規則第 3 号」という。)を廃 止し、これに取って代わるものである。以下に、2023 年規則第 3 号の主な要点を簡単に述べる。 (i) 企業結合届出要件:F2F(Foreign to Foreign)取引における地域関連基準 2023 年規則第 3 号によると、全ての取引当事者がインドネシアにおいて資産又は売上げを有する場合にの み、企業結合届出の義務が生じる。これは、取引当事者の 1 者でもインドネシアに資産又は売上げを有する 場合には企業結合届出義務が生じていた 2019年規則第3号に基づく制度と比べて注目すべき変更である。
1. はじめに
マレーシアにおける債権回収を検討するに際しては、企業倒産手続の基本的理解が重要となります。マレーシアの倒産法は、旧宗主国である英国の法律に由来していますが、近年では英国がより債務者フレンドリーな倒産法制度を取り入れるなど 、マレーシアと英国の倒産法制度の差異も顕著となってきています。本稿では、マレーシアにおける企業倒産手続を概説しつつ、債 権回収上の留意点について考察します。
2. マレーシアにおける企業倒産手続について
マレーシアの企業倒産手続には、主に①清算手続(Liquidation 又は Winding up)、②会社任意整理(Corporate Voluntary Arrangement)、③スキームオブアレンジメント(Scheme of Arrangement)、④更生管財手続(Judicial Management)及び⑤財産管理手続(Receivership)があります。
戦略的提携・拠点開設のお知らせ クアラルンプール 1 アジアでのさらなる体制強化のため、2023 年 1 月より WM Leong & Co と当事務所のシンガポール拠点である Nishimura & Asahi (Singapore) LLP が、マレーシア業務に関して戦略的提携を行っております。 WM Leong & Co は、マレーシア法において豊富な知識・経験を有するワンメイ・リョン マレーシア弁護士が代表を 務めるマレーシアの独立した法律事務所です。WM Leong & Co との戦略的提携の下で、マレーシアが関わるクロ スボーダー案件について豊富な経験を有する眞榮城大介弁護士および当事務所シンガポール事務所所属の弁 護士が中心となり WM Leong & Co と緊密に連携しながらクライアントのマレーシア事業の拡大および現地ビジネ スのサポートを行ってまいります。2 札幌 2023 年 4 月に札幌事務所を開設しております。道内企業での執務経験を有し、コーポレート・M&A・エネルギーの 分野ならびに海外案件支援に強みを持つ坪野未来弁護士が所属しており、身近なところでご相談をいただきなが ら、きめの細かいアドバイスを提供いたします。
Indonesia Authors: Miriam Andreta and Hans Adiputra Kurniawan 1. Bankruptcy and Liquidation: Updates Brought by PPSK Law With respect to bankruptcy and liquidation of certain parties (public listed companies, banks, non-bank financial institutions), there are certain updates and clarifications set out in Law on Development and Improvement of Financial Sector (also known by its local abbreviation “PPSK Law”) - which came into effect on 12 January 2023 (except for certain provisions that are explicitly intended to take effect otherwise).